海のない県で生まれ育ったからか、実は海が怖い。
海水浴やら散歩やら、砂浜で水をちゃぷちゃぷしたことは数回ある。
そういえば小学校の臨海学校で新潟の海に入った記憶もある。
でも、海で潜った経験はない。
プールの底は、屋内であれば照明が、屋外であれば太陽光が届く。
光の届かない深い海の映像を見ると、恐ろしくて股のあたりがヒュっとする。
ブログという言葉が聞かれるようになる以前、今の私から考えたら
赤面するような類の日記や謎の作文を公開していた時期がある。
男がどうたら、職場の愚痴やら。
想像力が足りなかったのか。
バーチャル(笑)な世界では、普段の自分ではない姿を作り出せたし
関係が気に入らなければ痕跡を消し、名前を変えてまた違う場所に移ればいいやと
ネット上でのつながりを安易に考え、適当なことばかり言っていた気がする。
そのどれもこれもが面倒になり、投げ出してから10年近い。
ソーシャルネットワークサービスで学校の同級生やなじみの友達との
コミュニケーションをはかれたら、それでいいと思って過ごしてきた。
でも今度は、その横の繋がりが面倒になってきた。
難儀なもんだ。
震災前の夏に太平洋側の砂浜を散歩した。
子供はシーグラスが好きで、海に行くといつも探して歩く。
私は彼女の姿を目の端で捉えながら、色のきれいな貝殻を探す。
そこはとても波が荒い場所で海水浴は禁止されている。
それでも面白がって海に入る子供がいるようで、毎年のように事故があるらしい。
潮が満ちてきたとき波が近くまで来ていた。
海を知らない、足の着かない海で泳ぐことなんて想像も出来ない私は
この波に飲まれたら多分助からないだろうと感じて、その場を去った。
ネットで自分の意見を発信するのは、海に入っていくのと似た感じだ。
暗い海を漂う恐ろしさみたいなのを漠然と感じる。